初任給で贈った「思い出の時間」──父に伝えた感謝の夜

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編集部より

社会人になって初めての給料で、あなたなら誰に何を贈りますか。

今回ご紹介するのは、男手ひとつで娘を育てた父へ、初任給で「思い出」をプレゼントした女性のエピソードです。

物ではなく、時間と笑顔を贈る。そこには、言葉では伝えきれない感謝が込められていました。

初任給で贈った、父への感謝の食事会

私の母は早くに亡くなり、父は男手ひとつで私と姉を育ててくれました。

仕事をしながら、家事も子育ても全部ひとりでこなしてくれた父。思春期の娘二人を相手に、きっと苦労も多かったと思います。

大学を卒業して社会人になった私は、初任給をもらったとき、真っ先に父の顔が浮かびました。

ありがとうを形にしたいと思い、父と姉、そして父の友人夫婦を招いて、ささやかな食事会を開くことにしました。

父が大好きだったお寿司屋さんで

父は、大勢で食事を楽しむのが何より好きな人でした。

だからこそ、物を贈るよりも、みんなで囲む時間のほうが喜ぶだろうと思い、昔から家族でよく訪れていたお寿司屋さんを予約しました。

久しぶりに集まった六人での食事会。にぎりやお造りをつまみながら、父の笑い声が店に響いていました。

お寿司屋のご主人がすすめてくれた日本酒を気に入ったようで、「これはうまいな」と何度もおかわりをしていたのが印象的でした。

父の上機嫌な姿を見て、この時間を贈れてよかったと心から思いました。

初任給で贈る、思い出というプレゼント

食事に誘うと伝えたとき、父は少し驚いたような顔をしていました。

初任給で何かプレゼントしてもらえるとは思っていなかったようで、最初は遠慮気味でしたが、当日は終始笑顔でした。

昔話を交えながら、自分が会社員になったころの思い出を話してくれました。そんな父の姿を見ながら、ああ、この人に育ててもらって本当によかったと改めて感じました。

食事会にはおよそ五万円ほどかかりました。予定より少しアルコール代がかさみましたが、それも含めて良い思い出です。

初任給としては大きな出費でしたが、自分のためではなく、誰かのために使えたことが嬉しかったです。

もしもう一度贈れるなら

思い出をプレゼントできた夜から、時間がたった今でも、あの笑顔は心に残っています。

もしもう一度、初任給でプレゼントできるとしたら、今度は父自身では買わなそうなものを贈りたいと思います。

例えば、ホテル仕様のベッドマットレス。毎日使うものだからこそ、良いものを選んでほしい。

あるいは、健康に役立つものでもいい。あのころと同じように、父が少しでも気持ちよく眠れたり、笑顔で過ごせたりする時間を贈りたいと思っています。

編集部あとがき

初任給を「思い出の時間」に使う。そこにあるのは、贈り物よりも深い感謝の気持ちです。

物ではなく、一緒に過ごす時間をプレゼントすることで、言葉では伝えきれない愛情が伝わる。

お寿司屋での笑顔、日本酒を味わう父の姿。その一夜が、何よりの親孝行だったのかもしれません。

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