編集部より
「実家にお金を入れるのは当たり前?」
そんな会話を耳にすることがありますが、そこにはそれぞれの家庭の事情と、子どもの想いが込められています。
今回ご紹介するのは、実家暮らしの5年間、毎月6万円を家に入れ続けた女性のエピソードです。
静かな中にも、確かな感謝の気持ちが伝わってくる“続ける親孝行”の物語です。
実家暮らしで決めた「毎月6万円」
私は大学を卒業してから実家から職場に通っていました。
その5年間、毎月6万円を家に入れていました。
友人たちと話していると、実家に入れるお金は3万円くらいという人が多かったのですが、私としては6万円でも決して多くないと感じていました。
家賃を払うと考えれば安いし、何よりこれまでお世話になったお礼のつもりで始めたことでした。
親の負担を少しでも減らしたくて
父と母は、私を筆頭に3人の子どもを育ててくれました。
全員が大学まで進学していたので、学費も生活費も決して楽ではなかったと思います。
私が就職したのは、ちょうど弟が大学入学を控えたころ。
だからこそ、少しでも家計の足しになればという思いで、6万円を入れることに決めました。
「自分が働くようになった分、家の中に少し余裕ができたらいいな」──そんな気持ちでした。
5年間で350万円、感謝の気持ちを形に
毎月6万円、年間で72万円。5年間続けたので、総額ではおよそ350万円になりました。
私立大学の学費が約400万円かかっていたので、「少しでも恩返しができたかな」と思っています。
両親は、最初に金額を伝えたとき、「そんなに入れなくてもいいよ」「3万円でも十分だよ」と言っていました。
それでもお願いして受け取ってもらいました。
お金を渡すこと自体よりも、気持ちを受け取ってくれたことが嬉しかったです。
夫婦で温泉旅行へ──使ってくれたことが嬉しかった
そのお金で、両親が夫婦で温泉旅行に行ったこともありました。
「あなたが家に入れてくれた分で、ちょっと贅沢してきたよ」と笑って話してくれたときは、胸が温かくなりました。
無理をしていたわけではないけれど、少しでも親の生活にゆとりをつくれたなら、それがいちばんの親孝行だと思いました。
家を出るとき、母が「気を遣ってもらってありがとう」と言ってくれたのが、今も忘れられません。
これからの親孝行は「支えること」
今は結婚して、二人の子どもがいます。
親孝行の形は変わりましたが、これからは“支え合う親孝行”をしていきたいと思っています。
実家から車で1時間半ほどの距離に住んでいるので、会いに行こうと思えばすぐ行けます。
両親が年齢を重ねたときに、少しでも力になれるように。
これからは、顔を見せることや話を聞くこと、それも立派な親孝行だと感じています。
編集部あとがき
毎月の6万円。それはただの生活費ではなく、感謝の積み重ねでした。
派手なプレゼントよりも、続けることで伝わる想いがあります。
お金を入れるという行為は、両親への信頼や愛情の形でもあります。
「ありがとう」を言葉ではなく、行動で示したこのエピソードは、等身大の親孝行の美しさを教えてくれます。