親に何か贈りたいと考えたとき、「旅行」は候補に挙がりやすい一方で、いちばん迷いやすい選択肢でもあります。金額も、手配も、当日の過ごし方も、決めることが多いからです。
この記事では、実際に親を旅行に連れて行った10人の実例をもとに、旅行を贈るときの型と、予算の目安、後悔しないためのコツをまとめます。初任給での贈り物から、退職後に時間ができてからのお礼まで、機会はさまざまです。
1. なぜ旅行なのか
物を贈った人と比べて、旅行や体験を贈った人は「もったいなくてしまい込まれる」心配をしていませんでした。理由を書いていた人がいます。
モノだったらもったいなくて使えなかったから、行くしかない旅行でよかったとも言ってくれました
30代男性・長崎への2泊3日旅行
財布やカバンは「使わずにしまっておく」という選択肢が残ります。旅行は、行くと決めた時点で親が動かざるを得ません。「使ってもらえるかどうか」で悩んでいるなら、旅行はその悩みごと解決してくれる選択肢です。
2. 10人の実例
| 贈り方 | 金額 | 機会 |
|---|---|---|
| 日帰り温泉+マッサージ | 1人15,000円 | 初任給 |
| 家族旅行(1泊2日・ホテル代のみ負担) | 5万円 | 初任給 |
| 1泊の温泉旅行券 | 6万円 | 初任給 |
| 旅行券10万円分 | 10万円 | 初任給 |
| 2泊3日の旅行(2人分) | 14万円 | 初任給 |
| 沖縄旅行(2泊・両親のみ) | 18万円 | 特に理由なく |
| 米寿祝いの温泉旅行(家族同行) | 15万円 | 米寿 |
| 伊豆の高級温泉旅館(1泊・家族同行) | 25万円 | 子育てが落ち着いたタイミング |
| 屋久島・淡路島(父母別々・友人同伴可) | 50万円以上 | 親の「行ってみたい」を叶える |
1人あたりの単価で見ると、日帰りなら1万円台から、宿泊をともなう旅行だと1人5〜25万円まで幅があります。金額の大小より、何をきっかけに旅行を選んだかのほうが、読んでいて参考になります。
3. 旅行の贈り方は、4つの型に分かれる
① 旅行券を渡す(行き先は親に任せる)
両親がどこに行きたがるかを想像しながらこのぐらいなら余裕で行けるかなという金額を選びました。(中略)きちんとそれを使って行きたいところに旅行に行ってくれたので、久しぶりに二人きりで有意義な時を過ごせたのではないかと思います
30代女性・旅行券10万円分
向いている人:親の好みや行きたい場所が分からない、手配の時間が取れない。
② 自分で手配して、費用を負担する
沖縄旅行を贈った方は、両親の休みを先に調べて予約まで済ませてから伝えています。
予め両親の仕事が休みの日や予定が入っていないか等調べていたので、交通費と宿泊代は私が出すし、もう予約はしたと言うと本当にいいの?高かったでしょ、と嬉しそうにしてくれました。現地についてからも両親は私以上にはしゃいでくれました
20代女性・沖縄旅行18万円
向いている人:親は遠慮して自分からは行きたいと言い出さないタイプ。先に決めてしまうほうが動きやすい。
③ 一緒に同行する
足の悪い父親を連れて、米寿祝いの温泉旅行に付き添った例です。
父親が足が悪かったので、部屋は階段のない1階にしてもらっていましたが、風呂だけはどうしても途中に10段ばかりの階段があったので、風呂に入る時にはそこは私が一緒に行って、父親をおぶって階段を上りました
40代男性・米寿祝いの温泉旅行
親が高齢になってくると、旅行券を渡すだけでは実現しません。同行することそのものが、贈り物になります。
④ 親の「一度は行ってみたい」を叶える
父には屋久島、母には淡路島。それぞれ別の場所に、友人の同行まで手配した例です。
父親、母親がこれまでに「一度は行ってみたい」と思う場所へ連れて行きました。(中略)高齢になった今では付き添いがいないと行けないので、少しでも体が動けるうちに願いを叶えてあげたいと考えたのです
40代男性・合計50万円以上
金額は大きくなりますが、「親が昔から言っていた行きたい場所」を覚えているかどうかが、この贈り方の出発点です。


4. 手紙を添えると、反応が変わる
プレゼントの他に感謝の気持ちを込めた手紙も一緒に渡したのですが、それを見た瞬間母親は泣いていました。今でもその手紙は大事にわざわざ額にしまっている
30代男性・長崎旅行
この方は、旅行を選んだ理由もはっきり書いていました。
最初は半永久的に残る財布やバックといった若干高級なモノをプレゼントしようかとも考えたのですが、考えてみると両親が何が好みなのかわかりませんでした。そのとき初めて、自分は両親のことを知っているようで何も知らないんだ、と気づいた
同上
好みが分からず品物選びに迷ったら、それ自体が旅行を選ぶ理由になります。行き先や過ごし方は、その場で親に選んでもらえるからです。
5. 「したい時に親はなし」を実感した話
米寿祝いの温泉旅行を贈った方の記録には、続きがあります。
あとで母親から、風呂までの階段をおぶって登ったことと、風呂で背中を流したことは結構うれしかったらしく、そのことをしきりに母親に言っていたと伝え聞きました。そんなに喜んでくれるなら、もっと前にしておけばよかったと思いました。父親はそのあと患って亡くなってしまい、それが結果的には「最後の旅」になった
40代男性
この方は、いま母親についてこう書いています。
母親はまだ存命なので、彼女についても定期的に旅行に連れて行ってあげようと思っています
同上
旅行は、金額よりタイミングが取り返しのつかない贈り物です。予算や計画で迷っている時間があるなら、まず日程だけでも押さえてしまうほうが、あとで悔いが残りません。
6. 予算の目安
| 予算 | できること |
|---|---|
| 1〜2万円 | 日帰り温泉+食事、近場の宿泊費の一部負担 |
| 3〜6万円 | 1泊2日の温泉旅行(1〜2名) |
| 7〜18万円 | 遠方への1泊旅行、旅行券として渡す、家族での宿泊旅行 |
| 20万円〜 | 高級旅館での宿泊、複数人での同行旅行 |
| 50万円〜 | 父母それぞれの「行きたい場所」を別々に叶える |
予算の見通しが立ったら、あとは行き先です。温泉なのか、少し遠出するのか、宿にどこまでこだわるかで、同じ予算でも選べる範囲はかなり変わります。こちらで親孝行にちょうどいい旅行先をいくつか眺めてみると、贈りたい旅行の形がだんだん具体的になってきます。
まとめ
- 迷ったら旅行を選んで問題ない。しまい込まれる心配がなく、思い出として長く残る
- 贈り方は4つ。旅行券を渡す/自分で手配する/同行する/親の「行きたい場所」を叶える
- 手紙を添えると反応が変わる。額に入れて保管された例もある
- 旅行はタイミングが取り返しのつかない贈り物。迷っている時間があるなら、まず日程を押さえる
初任給での贈り物を検討している方は、初任給のプレゼント、36人は何を贈ったかもあわせてご覧ください。渡したあとの親の反応は、親は本当はどう思った?36人に聞いた「親の反応」全記録にまとめています。三世帯での九州旅行の詳しい体験談は、こちらの記事でも紹介しています。
この記事のデータについて
- 2016年に、親孝行として旅行を贈った経験のある方を公募した記録にもとづいています
- 引用は原文のまま掲載し、個人が特定されうる地名・勤務先などのみ省略しています
- 記事中の金額は2016年当時のものです。旅行費用の現在の相場は変動するため、実際の予約時にご確認ください