初任給で親に何か贈ろうと決めたあと、最初にぶつかるのが「で、何を贈ればいいのか」です。
検索すればランキングは山ほど出てきます。ただ、そこに並んでいるのは「売れている商品」であって、「実際に親に贈られたもの」ではありません。
この記事では、実際に初任給で親にプレゼントを贈った36人の記録を、品目・相手・金額・購入先・渡し方の全項目で集計しました。おすすめ商品の紹介ではなく、集計結果そのものです。
1. 何を贈ったか|いちばん多かったのは「旅行」でした
36件を品目で分類した結果です。ひとりで複数のものを贈っている人がいるため、合計は36を超えます。
| 贈ったもの | 件数 |
|---|---|
| 旅行・温泉 | 15 |
| 食事・外食 | 10 |
| 衣類・小物(ネクタイ、カバン、エプロン、靴など) | 7 |
| 現金・商品券・旅行券 | 6 |
| スイーツ・ケーキ | 6 |
| 財布 | 5 |
| 家電・マッサージ器 | 3 |
| お酒 | 3 |
| 時計・アクセサリー | 2 |
| 自転車 | 2 |
| 化粧品 | 2 |
| 手紙のみ | 2 |
| タオル・寝具 | 1 |
形に残るものより、一緒に過ごす時間を選んだ人のほうが多いという結果でした。旅行が15件、食事が10件。単純に足すことはできませんが、体験に寄せた人が最多なのは間違いありません。
理由を書いている人が何人かいました。
形に残るものを渡しても良かったのですが、物は劣化していくので何かいい経験を共有したいと思っていました
20代男性・フルコースのディナーに招待
贈られた側からも、同じ趣旨の言葉が返っています。
モノだったらもったいなくて使えなかったから、行くしかない旅行でよかったとも言ってくれました
30代男性・両親に旅行を贈った
これは36件を通して繰り返し出てくるパターンでした。親は、もらった物を「もったいない」と言ってしまい込む傾向があります。使わざるを得ない体験のほうが、結果的に消化されやすいようです。
旅行の贈り方や、予算別の実例をもっと詳しく知りたい方は、親を旅行に連れて行く、という親孝行にまとめています。


2. 誰に贈ったか|「両親そろって」が最多
| 贈った相手 | 件数 |
|---|---|
| 両親そろって | 24 |
| 母だけ | 7 |
| 父だけ | 3 |
| 記載から判定できず | 2 |
両親そろって贈った人が24件と、圧倒的多数派でした。片方だけに贈った人は10件(母のみ7件・父のみ3件)で、母を選んだ人の方が多い結果です。
片方だけに贈った人には、はっきりした理由がありました。母子家庭・父子家庭であること、あるいは「この人にはこれを」という具体的な動機です。
父は八百屋で、毎朝3時には市場へ野菜を仕入れに行くのを20年以上続けています。朝が早い父の日課は市場で缶コーヒーを飲むこと
20代男性・父に革の小銭入れを贈った
両親そろって贈る場合は、父と母で別々の品を選ぶケースが目立ちました。父にビジネスカバンと母に自転車、父にネクタイと母にエプロン、といった組み合わせです。ひとつの品を「ふたりへ」とするより、それぞれの生活に合わせたほうが反応が良く出ています。
3. いくらかけたか|2016年時点の分布
金額を書いていた32件の分布です。
| 価格帯 | 件数 |
|---|---|
| 〜5,000円 | 9 |
| 5,000〜10,000円 | 1 |
| 10,000〜30,000円 | 12 |
| 30,000〜50,000円 | 5 |
| 50,000円〜 | 5 |
中央値は15,000円でした。ただし、この調査は2016年に実施したものです。初任給の水準も物価も当時とは違うため、この金額をそのまま今の相場として使わないでください。現在の水準については、あらためて調べて別記事にまとめます。
金額について、もっと大事なことが分かっています。かけた額と、喜ばれ方が一致していません。
2,000円のカットケーキを買って帰った人の記録です。
とても嬉しそうに箱を受け取った時の母の顔が今でも目に焼き付いています。(中略)月に3回はケーキが食べられるわね!と母が嬉しそうに言っていたことを覚えています
40代女性・2,000円弱のケーキ
一方、10万円分の旅行券を贈った人には、こう返ってきています。
逆に、せっかく初めて頂いたお給料なのだから、大切に自分に使いなさいと言われました
30代女性・10万円分の旅行券
36件を並べて読むかぎり、返ってきた言葉の重さは、金額とほとんど関係していませんでした。


4. どこで買ったか
購入先が書かれていたものを集計しました。
| 購入先 | 件数 |
|---|---|
| 飲食店・ホテルで直接(食事系) | 14 |
| 百貨店・デパート | 11 |
| 専門店・路面店(酒屋、宝石店、菓子店など) | 10 |
| 量販店・ショッピングモール | 6 |
| ネット通販 | 4 |
| 旅行代理店 | 2 |
物を買った人にかぎると、百貨店がいちばん多いという結果でした。理由を書いている人がいます。
社会人になって際に上京したため、上等なものは百貨店にあると安直なイメージから、特に調べもしない
20代男性
包装が整うこと、店員に相談できることが理由として挙がっていました。一方で、ネット通販を選んだ人には別の合理性があります。
最初はデパートで正規品を購入しようと考えたのですが、見ると4万以上して
30代女性・同じ財布をネットで2万円台で購入
予算を抑えるならネット、包装と相談を取るなら百貨店。この調査は2016年のものなので、現在はネットの比率がもっと高いはずですが、初任給という場面で「きちんとした包装」に価値を置く人が多いのは、いまも変わらないと思われます。
5. いつ、どう渡したか
| 渡し方 | 件数 |
|---|---|
| サプライズ(事前に伝えない) | 8 |
| 食事の席・食卓で | 5 |
| 手紙やカードを添えた | 4 |
| 給料日当日に | 3 |
| 事前に相談して決めた | 1 |
圧倒的にサプライズが多数派です。凝った例もありました。
家族で旅行中の食事団欒の時に、お手洗いにいくふりをしてマッサージチェアとケーキを運んできてプレゼントしました
30代女性
ただし、唯一の「事前に相談した」1件の結果が示唆的です。
サプライズのプレゼントではなく、相談のうえで購入したプレゼントであったため、「驚き」という感情は少なかったものの、楽しみは大きかったようです
20代女性・オーディオコンポ
届く前から置き場所を用意し、最初に流す音楽まで決めて待っていたそうです。高額なもの、置き場所が要るもの、好みが強く出るものは、相談型のほうが安全です。
そして、36件を通していちばん差が出たのが手紙でした。添えた4件は、いずれも反応が突出しています。額に入れて保管されていた例もありました。便箋1枚で足りるので、迷っているなら添えておいて損はありません。
6. 渡したあと、親はどう反応したか
ここがいちばん知りたいところだと思います。結論だけ書くと、9件で親が「いったん断って」います。
「自分で稼いだ金だ。自分のことに使え」「貯金をしとけと言ったのに」——渡した瞬間に喜ばれるとはかぎりません。父親の場合はとくに反応が薄く、本当の答えが分かるのは数年後だったりします。
36人分の反応を、原文のまま別記事にまとめました。泣いた家庭が7件、うまくいかなかった1件も含めて、そのまま載せています。
👉 初任給のプレゼント、親は本当はどう思った?36人に聞いた「親の反応」全記録
7. 迷ったときの決め方
36件から言えることを、判断の順番にまとめます。
- まず「物」か「時間」かを決める。迷ったら時間(食事・旅行)が無難。物はしまい込まれやすい
- 金額は、自分の生活が苦しくならない範囲で決める。高いほど喜ばれるわけではない。5,000円以下でも9件が成立している
- 両親そろってなら、父と母で別々の品にする。それぞれの生活に合わせたほうが反応が良い
- 高額・大きい・好みが強く出るものは、事前に相談する。驚きは減るが、外さない
- 手紙を添える。便箋1枚でいい。36件でいちばん差が出た要素
- 断られても気にしない。9件で親は一度断っている。それが普通
選ぶのに時間をかけた人ほど、返ってきた言葉が具体的でした。正解の品があるというより、選ぼうとした時間そのものが伝わっているように読めます。
個別の体験談をじっくり読みたい方は、初任給で贈った「思い出の時間」──父に伝えた感謝の夜や、初任給で贈った、幻の芋焼酎「魔王」もあわせてご覧ください。
この記事のデータについて
- 2016年3月に、初任給で親にプレゼントを贈った経験のある方を公募し、回答いただいた36名の記録にもとづいています
- 回答者の内訳:女性24名/男性12名。回答時の年代は20代12名・30代13名・40代7名・50代以上3名・10代1名
- 回答者が語っている「初任給」の時期は、回答時点よりさらに前のものが含まれます
- 集計は、ひとりが複数の品を贈っている場合、それぞれを1件として数えています
- 引用は原文のまま掲載し、個人が特定されうる地名・勤務先などのみ省略しています
- 記事中の金額は2016年当時のものです。現在の相場は別途調査のうえ、別記事にまとめます