この記事は、初任給で親にプレゼントを贈った36人の記録のうち「親がどう反応したか」だけを集めたものです。何を贈ったか・いくらかけたかの全体データはこちらの記事に、旅行の贈り方はこちらの記事にまとめています。
初任給で親にプレゼントを贈ろうと決めたあと、次にやってくるのは「これで本当に喜んでもらえるだろうか」という不安ではないでしょうか。
金額が少なすぎないか。趣味に合わなかったらどうしよう。そもそも「そんなのいいから」と言われて終わるのではないか。
この記事では、実際に初任給でプレゼントを贈った36人に「親はどんな反応をしたか」を聞いた記録を、できるだけそのまま載せます。ランキングでも、おすすめ商品の紹介でもありません。贈られた側が実際にどう反応したかだけを集めたものです。
先に結論をお伝えします。
36人のうち、35人が「喜ばれた」と答えました。ただし、その場で素直に喜んだ親は、思ったより少数でした。
この「素直に喜ばない」の中身が、いちばん知っておく価値のあるところだと思います。
1. いちばん多かった反応は、喜びではなく「遠慮」でした
36件を読んで、最初に驚いたのがこれです。9件で、親が受け取る前にいったん断っています。
実際の言葉を並べます。
「家に入れてくれるだけで十分なのに」と言っていました
30代女性・旅行券を贈った
初めての給料だから、自分の好きな物買って良かったのに…と言われましたね
40代女性・温泉旅行を贈った
父は照れたように「貯金をしとけと言ったのに。」と言いましたが、ありがとうと言ってくれました
30代女性・ネクタイとエプロンを贈った
「自分で稼いだ金だ。自分のことに使え。俺は金に困ってなんかない。」と言っていました
20代男性・革の小銭入れを贈った
「私なんかの為でなく、あんたの欲しいもの買えばよかったしょ」とプレゼントしたにもかかわらず、最後まで私の事を考えている母だなぁと思いました
20代男性・長財布を贈った
せっかく初めて頂いたお給料なのだから、大切に自分に使いなさいと言われました
30代女性・旅行券を贈った
開封してもらったところ二人は顔を合わせて最初に「高かったんじゃない?大丈夫?」と声をかけてくれました
10代男性・両親に財布を贈った
母親が「そういうことはしてくれなくていいのよ」「こんなことしてもらっちゃって」と繰り返した、という話もありました。
もしあなたが渡した瞬間に「いいのに」と言われても、それは失敗ではありません。むしろ、いちばん多い反応です。
この点について、印象的な後日談がありました。食事に誘われた母親が「してくれなくていい」と言い続けていた家庭で、実は裏でこんなやりとりがあったそうです。
直前までお金は大切だから断った方が良いのではないかという母に、良いじゃないか、何も言わず受け取ろう、きっと良い思い出になると父が言って取り成してくれたのだそうです
30代男性・両親を食事に招待
断りの言葉は、いらないという意味ではなく、心配の形をしていることが多いようです。


2. 喜びは、その場ではなく「あと」に見えることが多い
とくに父親について、この傾向がはっきり出ました。渡した瞬間の反応は薄いのに、何年も経ってから本当の答えが分かる、という話が繰り返し出てきます。
父親は寡黙で、頑固であまり笑わない昔ながらの人なので、照れながら、ほんの少しだけ笑みを浮かべて、ありがとなと、捨て台詞の様に言って、奥の部屋に行ってしまいました。でも、何年経っても、上げたカバンはピカピカなので、毎年、磨いているんだな、大切にしているんだなと感じています
40代男性・父にビジネスカバン、母に自転車を贈った
数年前に財布がくたくたじゃない?と聞いた時に私からもらったものだからずっと使っているんだってと母から言われたときに、すごく喜んでくれていたんだなと感じました
30代女性・父に財布を贈った
しばらく経ってから使わないのももったいないとのことで使いはじめたようで(中略)今ではいつでも持ちあるいているらしく、最近父に会った時には、小銭入れがクタクタになっていました。買い替えればくせに、「使えるんだからこのまま使っていく」と言っていました
20代男性・父に革の小銭入れを贈った
母はその日からエプロンを使ってくれていますが、父は未だに使っていません。大切にしまってくれているようです
30代女性・父にネクタイ、母にエプロンを贈った
18金のネックレスを母に贈った方は、20年後についてこう書いています。
それから20年経ちますが、ずっと大切に使ってくれました。定年した今は、母の宝物入れに保管されています
40代女性
「使ってくれない」は、喜んでいないのとは違うようです。しまい込まれるのも、毎日使われるのと同じくらい、大切にされている形でした。
この「大事にしすぎて、かえって切なくなる」感覚をもっと詳しく知りたい方は、初任給で贈った、幻の芋焼酎「魔王」で、ひとつの家族の物語としてまとめています。
3. 泣いた親がいた家庭は、7件ありました
36件のうち7件で、親が涙を流しています。共通しているのは、高価だったからではないことです。
とくに印象に残ったのが、母親を早くに亡くし、父ひとりに育てられた方の話でした。プレミアム焼酎の「魔王」を贈っています。
そして意外なことに、いつも厳しい父が、涙を流しました。私もつい一緒に泣いてしまいました。それで、早速飲むのかと思うと、そのまま仏壇に飾り、母の月命日の日に、ふたを開け、コップに一杯だけ飲んでいました。そして、それからは毎日、最初の一杯を魔王にして、あとは、ふたを閉めて、いつも飲んでいる普通の芋焼酎にしていました
20代女性
手紙を添えたケースでも、涙が出ています。
プレゼントの他に感謝の気持ちを込めた手紙も一緒に渡したのですが、それを見た瞬間母親は泣いていました。今でもその手紙は大事にわざわざ額にしまっているので相当うれしかったんだなと
30代男性・両親に旅行を贈った
手紙を添えて渡していて、後で母に聞くとうれし涙を流していたそうです
30代女性
36件を通して見ると、手紙を添えた人の反応は、そうでない人より明らかに強く出ています。額装して保管されていた例まで含めて、モノ単体より効いているように読めました。


4. 「何を贈ったか」より「時間」だったという声
これも繰り返し出てきたパターンです。
家族4人で外食した方は、金額の少なさを気にしていましたが、返ってきた反応は別のところにありました。
プレゼントの内容のことより、私と弟と家族4人、外食ではありますが、家族のだんらんを久々に持てたことが、うれしかったみたいでした
40代女性
旅行を贈った方には、こんな言葉が返っています。
モノだったらもったいなくて使えなかったから、行くしかない旅行でよかったとも言ってくれました
30代男性
ホールケーキを贈った方は、後日その理由を聞かれてこう言われたそうです。
「気を使いすぎだよ。プレゼントで大切なものは気持ちだから、何をもらってもうれしいよ」と言ってもらえて、「この親の元に生まれることができてよかったなー」と強く感じました
20代男性
品物選びで消耗している方には、この3つの声が効くかもしれません。
5. うまくいかなかった1件も、そのまま載せます
36件のうち1件だけ、はっきり「喜ばれなかった」と書かれたものがありました。都合の悪い話ですが、隠すと調査になりませんので載せます。
親の反応は芳しいものではありませんでした。就職した先が中小企業であること、郷里から離れていること、長男なのに自分のいうことを聞かないことがその理由だと推察しています。(中略)酒を渡したときもお土産はいいから貯めろということを遠まわしに言われ、感謝はありませんでした
30代男性・お酒と土産を贈った
ただ、この方はこう続けています。
当時は不服に思えましたが、親からしてみれば息子の将来を思いやった上での行動だったのかも知れないと7年経って思います
同上
プレゼントそのものより、親子のあいだにあった別の事情が反応を決めていた例でした。贈り物で解決できないことはある、という当たり前のことも、記録としては大事だと思っています。
贈り物ではなく、親そのものの変化とどう向き合うかについては、親の老いを、いつから“現実”として受け止めるかでも書いています。
6. サプライズにするか、相談して決めるか
36件中、大半がサプライズでした。一方で、事前に相談して決めた例が1件あり、その差が分かりやすく出ています。
両親の希望を聞いてオーディオコンポを選んだ方の記録です。
サプライズのプレゼントではなく、相談のうえで購入したプレゼントであったため、「驚き」という感情は少なかったものの、楽しみは大きかったようです
20代女性
届く前から置き場所を用意し、最初に流す音楽まで決めて待っていたそうです。届いた日のメッセージは「やっと来たか!」だったといいます。
驚きは減るが、外さない。高額なものや置き場所が要るものを考えているなら、相談型のほうが向いていそうです。
一方、サプライズが強く効いたのはこちらでした。
家族で旅行中の食事団欒の時に、お手洗いにいくふりをしてマッサージチェアとケーキを運んできてプレゼントしました
30代女性・妹と折半
7. まとめ:36件を読んで分かったこと
- まず遠慮されるのが普通。9件で親が一度断っている。断りは心配の形をしていることが多い
- 父親の反応は薄く出る。答えは数年後に、使い込まれた品物や、母親経由の伝聞で分かる
- しまい込まれるのは、喜んでいないのとは違う
- 手紙を添えた人の反応は、明らかに強い
- 金額と喜びは、あまり関係していない。2,000円のケーキでも、10万円の旅行券でも、返ってきた言葉の重さは変わらなかった
- 贈り物で親子関係は変えられない。もともとの関係が、そのまま反応に出る
「何を贈るか」で悩んでいる時間の多くは、たぶん報われます。ただしそれは、選んだ品物が正解だったからではなく、選ぼうとした時間そのものが伝わるからのようでした。
この記事のデータについて
- 2016年3月に、初任給で親にプレゼントを贈った経験のある方を公募し、回答いただいた36名の記録にもとづいています
- 回答者の内訳:女性24名/男性12名。回答時の年代は20代12名・30代13名・40代7名・50代以上3名・10代1名
- 回答者が語っている「初任給」の時期は、回答時点よりさらに前のものが含まれます
- 引用は原文のまま掲載し、個人が特定されうる地名・勤務先などのみ省略しています
- 記事中の金額は回答当時のものです。現在の相場については別記事にまとめる予定です